第1話「希望の光を見据えて」


とある小さな大陸、『クーフェル大陸』。

その大陸は豊かな自然に包まれてとても綺麗でした。

その大陸を支配している国『マストロエ国』は、

大陸にしては都会で大きなお城がそびえたっていました。

マストロエ国の王様と王妃様は、大陸中の人から信頼を

得ていて、とても優しく厳しい人でした。

いつまでも平和で和かだと・・・



皆がそう思っていました。



しかしある時、王様が原因不明の病で倒れてしまいました。

原因不明のため治療の術もありません。どんな方法を徹しても、

王様は元気になることはありませんでした。

王様を含め、皆が諦め絶望したとき。



ただ一人だけ、希望の光を見据えた少女がいました。



その少女は、国の王女で、皆からこう呼ばれていました。



『ECLA ― エクレ ―』











王宮の謁見室で、王女はただ静かに王妃が来るのを待っていた。

父の病気をなんとかしようと図書室へ行った時だった。

どんな病をも治す万能薬がこの大陸のどこかにあるという文献を見つけた。

その本を持って、今この謁見室にいる。

つかつか、と高いヒールの音がして奥から王妃が現れ、しずかに玉座へと

腰を据えた。


「エクレ、どうしました?突然、母を呼びつけて」

「ごめんなさい、お母様。私、見つけてしまったの」

「見つけた?見つけたとは、何を・・・」


エクレは王妃に見開いた本を差し出す。

王妃はその見開いたページを見て、ため息を漏らした。

エクレはまさかため息が漏れるとは思わなかったため驚いた。


「この話は知っています。ですが、これも御伽噺・・・」

「そんな!そんなはずありません!」

「幾人かの兵にも探させに行きましたが、こんなものはありませんでした」

「・・・では、私が直々に探しに行きます」

「は?」


というより、エクレは元々そのつもりだった。


「私、お父様のためにこの万能薬を探しに行きます!」

「な、何を言っているのですか!あなたは・・・」

「あなたは王女!その言葉はもう聞き飽きました。それでも、私は行きます」

「分かっているのですか、一歩近くの森へ入るだけでもモンスターはうようよしているのですよ?」

「分かってます。だから、アルテを連れて行きます」


アルテ=シュトルム。エクレの側仕えであり、国の武闘会の優勝者。

護衛にはもってこいの存在であり、エクレも気を遣わなくて済む男だ。


「・・・どうせ反対したところで、抜け出してでも行くのでしょうね、あなたは」


王妃はさっきよりもっと深いため息を漏らしながら呟いた。


「はい」

「分かりました。ですが、無理だと思ったらすぐに帰るのですよ?」

「はい!」

「ここはあなたの家・・・帰るべき場所なのですから」

「ありがとう、お母様」


エクレが謁見室を出た後、そこにアルテが呼ばれた。

王妃はとても恐ろしい目でアルテを睨んでいた。


「アルテ・・・あなたは知っていましたか?」

「はい・・・ですが、王女は言っても聞いて下さらなかったので」

「そうでしょうね。・・・頼みますよ」

「はっ」

「あの子に何かあったら・・・・・・ねぇ、アルテ」

「心得てます」


アルテは謁見室を出て、重く息を吐く。

そして、王妃と同じくらい深いため息を漏らした。


「こんなところにいたのね、アルテ!もう、探したんだから」

「お嬢・・・」

「さぁ、行くわよ!!」

「はぃ?!今からですか?」

「当たり前でしょ!」


エクレが突拍子もなく何かを言い出すのには、アルテも慣れているつもりだった。

だが、これっばかりは驚きを隠せなかった。しかし、そんなものが通じるエクレ

でないことも、重々承知している。


「えー、本気ですか・・・」

「何よ、文句でもあるの?」

「いいえ、お嬢の仰せのままに」

「ふふ、さぁ行くわよ」

「まずどこへ向かうんですか」

「そうね・・・」


エクレはうーん、と悩むような格好をする。そう悩んでもいないくせに、と

アルテは思いながらもエクレが口に出すのを待つ。

びしっと、遥か向こうを指差しながら、もう片方の手は腰に据えた。


「とりあえず、山を越えるわよ!!」

「その山が遠いですよ」


歩き出すエクレの後をアルテは追った。



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これだけじゃぁ、あまり性格が掴めないね。